この記事には『汝、星のごとく』のネタバレを含みます。
まだ読んでいない人は以下の記事を先に読んでくださいね。
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>>『汝、星のごとく』はつまらない?あらすじと読んでみた感想
多くの読者が涙した凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』。
その中心人物である北原先生は、読む者に不思議な感情を抱かせる存在です。
一見、包容力に満ちた人格者のように思える北原先生ですが、どこか釈然としない影が漂います。
この記事では、北原先生が抱える独特の人生観を紐解き、私たちが感じる「モヤモヤ」の正体に迫ります。
彼の影響力が、他の登場人物たちにどのように作用しているのかを見ていきましょう。
北原先生は人格者である一方、何か引っかかる部分があるんですよね。
『汝、星のごとく』北原先生に感じるモヤモヤはこれだ!
櫂や暁海を、その大きな包容力で包むいかにもデキた人間のように思える北原先生ですが、
なんかモヤモヤする。
と思ってしまう人も多いのではないでしょうか?
ここでは客観的事実に基づいて北原先生に対するモヤモヤの正体を探ってみたいと思います。
北原先生の生い立ちを深堀りするなら続編『星を編む』も、おすすめですよ。
『汝、星のごとく』北原先生の歴代の妻(パートナー)は全て教え子というナゾ
ということに尽きます。
読んでみて、気付いたでしょうか?
北原先生の歴代のパートナー全ては教え子であり、恋人でもあった存在が物語に与える影響は大きいです。
- 結の母親
- 井上暁海
- 明日見菜々
法的に結婚していたと明らかなのは暁海だけですが、関係を持ったのは教え子ばかり。
北原先生は「普通」の基準を逸脱した行動を淡々と続けます。
その淡白さがかえって読者に不安を呼び起こし、彼の影響を受けた人物たちが、どのように人生を揺さぶられていくのかが読みどころです。
未成年だった教え子(結の母親)と恋愛して妊娠させちゃったんですよね。
いわゆる「普通」の感覚であれば北原先生は法を犯すとんでもない人間のようにも映ります。
ただ、北原先生の淡々とした性格がそれを感じさせないため、読者にはモヤモヤが残るのでしょう。
「やりたいようにやる」というスタンスが全ての人に受け入れられないのも事実です。
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『汝、星のごとく』暁海の行動は北原先生の影響が大きい
暁海が抱える葛藤――それは、北原先生の存在によってさらに複雑になっています。
周囲の「普通」とは違う生き方をする北原先生の言葉は、暁海の心を深く揺さぶり、自身の「普通」を見つめ直すきっかけとなりました。
北原先生は、人の心のスキマに入り込むのが上手いんですよ。
確かに弱っている時なら、北原先生みたいな人が必要って思っちゃうかも。
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>>『汝、星のごとく』櫂が書いた?説を検証!【ネタバレ注意】
『汝、星のごとく』北原先生の名言3選!
では、物語中、北原先生はどのような言葉を発したのでしょうか?
目に留まる名言をいくつかピックアップしてみたいと思います。
北原先生の名言は、物語後半部分に集中していますよ。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
『汝、星のごとく』北原先生の名言①
子は子、親は親です。付属物のように考えると悲劇が生まれます。
子と親は独立した存在であるべき、という言葉は、親の期待や周囲の目を気にしがちな私たちの心に響きます。
私たちはいくつになっても、何かを決定するには親の顔色を伺ってしまうきらいがあります。
そこで反対されようものなら、一度冷静になって考えてしまう。
親の顔色を伺っては、人生の選択肢を徐々に減らしてしまっているんですよね。
この小説を読むと、子どもと親の自律的関係は断ち切ることも大切であることが読み取れます。
少なくとも、自分の意思に素直になる気概は持っていたいですよね。
『汝、星のごとく』北原先生の名言②
自分がなにに属するかを決める自由です。自分を縛る鎖は自分で選ぶ。
社会の一員としてどのコミュニティに属するかを自分で選ぶことの大切さを語っています。
人は常にコミュニティに属さなければいけない生き物です。
たとえ、それが苦しかろうと。
でも、そのコミュニティを選ぶ権利はあなたにある。ということを北原先生は説いています。
一度コミュニティに属してしまうと「それが全て」と思ってしまいがちですよね。
どのコミュニティだって息苦しさはあるけれど、それを選ぶ権利は誰にでも持っているってことですね。
『汝、星のごとく』北原先生の名言③
では、もう一度訊きます。きみはどうしたいですか。
何気ない問いかけに見えて、この質問が櫂に与えた影響は計り知れません。
どうしても「普通」の人は自分の素直な気持ちを表に出すことをためらってしまいます。
改めて問いただすことで、相手の本心を引き出そうとしていますね。
この問いに櫂は、
俺は、暁海と、花火が、観たい。
と答えました。
この答えを発するのに、櫂はどれほどのエネルギーを費やしたのでしょうか。
相当、言いにくかったと思います。
それでも櫂は最後に自分の気持ちに素直になり、思いのまま自分の気持ちを吐露することができました。
櫂にとって一番苦しく、一番幸せな瞬間だったのでしょう。
北原先生の言葉に込められた温度感や微妙な間合いは、Audibleでさらに鮮やかに感じられるはずです。
音声で物語を味わうことで、新たな視点から登場人物たちの心情に触れることができますよ。
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記事まとめ
一見、常識外れで受け入れがたいように見える北原先生の生き方。
けれども、彼の言葉には、人間が本当に大切にすべき「自己決定」の意識が詰まっています。
彼のように自分の生き方を貫くのは簡単なことではありませんが、少しだけでもその姿勢を見習ってみるのも良いかもしれません。
シンプルなことだけど、とても難しことかも。
ナゾ多き北原先生も所詮は人間です。
人間の域を超越したことはできなくとも、人間が生きる上で本当に大切なことが何かを把握しているように思えます。
たとえそれが倫理的、社会的に許されないことであっても「自分の好きなように生きる」ことは私たちにとって不足している要素なのかもしれません。
私たちが何かを決断する時は、自分の意思だけではなく少なからず周りの意見や場に漂う空気を読む必要があります。
北原先生はそれを完全に捨てて、あるがままの人生を歩む人です。
北原先生の生き方が全て正しいとは限りませんが、見習う部分は少なからずあるのかもしれませんね。
この空気感をもっと堪能するならaudibleがおすすめですよ。
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